1)薬の名前
骨転移薬(商品名・ランマーク)
薬価は120㎎ 約47,000円です。
※保険適用されます。
ランマークは、「抗体医薬」に分類される薬です。
□抗体医薬とは、病原菌などの異物が体内に入ってくると、その異物と結合する抗体をつくり、異物を無毒化する働きをもっています。これはが人間にもともと備わっている免疫機能です。
この仕組みを人工的に利用した薬で、病気の原因となっている物質に対する抗体を作り出して体内に入れ、病気の原因を排除することで、予防や治療を行います。
- どの病気にどのように効くのか?
多発性骨髄腫による骨病変、固形がん骨転移による骨病変、骨巨細胞腫に有効とされています。
ランマークは、RANKLという物質にピンポイントで結合して、骨の破壊を止める作用をします。
骨破壊をもたらす細胞を破骨細胞といいますが、その形成や活性化に関わるタンパクにRANKLというものがあります。RANKLが増えれば増えるほど破骨細胞の働きが活発になり、骨破壊が進みます。
ランマークは、このRANKLに対する抗体医薬であり、投与することによって骨破壊の進行を抑えることが可能です。
- いつ、だれによって発明されたのか?
アメリカのアムジェン株式会社が開発を始め、2007年に 第一三共株式会社が開発、販売権を取得し、開発を進め、2012年に日本で承認された。
現在日本での製造会社は、第一三共株式会社の1社。
4)具体的な治療方法と期間
ランマークは4週間に1回のサイクルで投与します。
1回120㎎を注射で、皮下投与します。
注射場所は、上腕、大腿、腹部のどれかになります。
注射は5分程で終了します。
- 痛みや副作用
低カルシウム血症、顎骨壊死、皮膚感染症、アナフィラキシー、大腿骨転子下および近位大腿骨骨幹部の非定型骨折、疲労、悪心、関節痛、無力症、下痢、頭痛、低リン酸血症、骨髄炎、貧血、白血球減少、血小板減少などが報告されています。
ランマークの副作用としては、低カルシウム血症が代表的です。
健康な人の体では、古くなった骨の破壊と新たな骨の形成がバランスよく行われており、古くなった骨から出たカルシウムが血液中に溶け出して一定の濃度を保っています。
しかし、ランマークによって骨の破壊が抑えられると、血液中のカルシウム濃度が異常に低下してしまう低カルシウム血症が起こりやすくなるのです。
低カルシウム血症の症状には、しびれやけいれん、マヒ、不整脈や皮膚乾燥、脱毛などさまざまなものがあり、最悪の場合は死につながることもあります。
こうしたことから、カルシウムの薬を処方されます。
顎骨壊死では、破骨細胞の抑止効果があるランマークのような薬は、特に骨の代謝が活発な部位で濃度が上がることから、食べ物のそしゃくなどによって常に刺激を受ける顎骨は、薬の影響を受けやすい部位です。
そこに虫歯や抜歯、口腔の不衛生などが重なると、細菌に感染して顎骨が炎症し、最悪の場合は骨が壊死してしまうことがあります。ランマークの治療中に歯や歯茎の異常が見られた際には、すみやかに受診することが大切です。
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